雨ヶ立山・布引山 雨ヶ立山
群馬県みなかみ町 雨ヶ立山(1,626m)、布引山(1,680m)
【登山日】 2010年 3月20日
【登山コース】 宝川温泉[5:55]→観測施設[7:03]→尾根[9:37]→雨ヶ立山[10:49]→[11:27]布引山[12:11]→観測施設[14:30]→宝川温泉[16:15]
この三連休はどこかの山に登りたいがどこにしようかと『群馬300山』の利根の残雪の山を物色していた。ネットでは雨ヶ立山の記録が予想外にたくさんあった。しかし、ほとんどが山スキーや宿泊を伴うものだったので日帰りコースはどうすればいいかなと考えていた。そこに群馬山岳移動通信の重鎮さんの記録がアップされた。日帰りで直近の記録であり、まさに渡りに船ということで早速これを参考に雨ヶ立山に出かけた。
駐車地 奥右が宝川温泉 川沿いの道(林道は雪に埋もれて) トンネル入口
観測施設 杉林 尾根への登り
宝川温泉奥の除雪終了地点の駐車スペースには6時少し前に到着した。ここで先週に引き続いてスノーシューにするかワカンにするか迷った。相変わらずワカンの取り扱いやすさとスノーシューがエクステンションを装備して巨大であることなどからまたしてもワカンを選択して失敗した。(結局最初から最後までワカンは付けっ放しだったのでスノーシューでも変わらなかった。)その上出発してしばらくたってストックを忘れたことにも気が付いた。まさに前途多難な出発となった。(結果はやはり多難だった。)朝のうちは雪も締まって比較的歩きやすかったが、それでもワカンは時々ズブと雪を踏みぬいた。川沿いの林道にはまだたくさんの雪が覆い被さりほとんどが雪の下にあった。30分ほど歩いたところでトンネルに出て入り口付近に積った雪を乗り越えて通り抜けた。雪道をさらに歩き1時間ほどで廃屋のような建物のと川の反対側に堰堤のある場所に出た。ここまでいつのものかは分からないがスキーの跡とスノーシューの跡があり、それらはここで川沿いと右上に登る方に分かれていた。ここでは重鎮さんの記録に従い右上に進んだ。するとそこには新しい観測用の機器が設置された施設があった。ここから少し上りながら杉林の中に入っていった。この林の中で今日初めての休憩をしていると私が駐車スペースを出発するときに到着した方に追い越された。この方はスノーシューで軽快に登っていった。この後重鎮さんの記録と同じ道筋で登るつもりで進むと先にこの方のスノーシューの跡が付けられていたのでほぼルートファインディングをせずに進むことができた。送電線の下をくぐり、杉林を抜けて雑木林となるところから少しづつ傾斜が増してきて、道は北方向に曲がり板幽沢に沿って進む。杉林や雑木林の中では木の傍を歩くとズボと雪を踏み抜くことが多く歩き辛い。先行したスノーシューの跡を見れば底面積が広いのでほとんど踏み抜いていない。やはり少し邪魔でもスノーシューだったと後悔する。今日は予報通り好天で気温が高く暑い。林道途中から一番上に着ていたフリースを脱ぎ、手袋も帽子もとってしまった。道は樹木が薄くなると沢に沿って片斜面の原っぱのように広くなる。ここを右に向かって登っていくと稜線上に出る。右側には武尊山、至仏山も白くかすんだ向こうに見え始める。尾根に登りあげたところで一休みして栄養補給した。
稜線歩き(右奥が雨ヶ立山) 右側は雪庇 右から雨ヶ立山に合わさる細い稜線
真中奥が朝日岳、右端が布引山 雨ヶ立山 谷川岳遠望
稜線上の雪は標高が他界性か締まっていて歩きやすい。ここら辺りからは先行した方のスノーシューの跡とスキーの跡も現われ始めた。右側には所々雪庇も見られた。この稜線を雨ヶ立山に向かってどんどん登っていくのは景色も良く実に気持ちがいい。周りの山々も見え始め絶景である。途中には大きな木の生えた場所もあり雪だらけの世界のひとつのアクセントにもなる。やがて雨ヶ立山が見え始め、右からはナイフリッジと呼ぶに相応しい鋭角の稜線が雨ヶ立山に合わさっているのが見える。最後右側に崖と岩場を見ながら急な雪面を登りあげると丸々とした雨ヶ立山の山頂に到着する。ここからは遮るものもなく、今歩いてきた稜線、そして至仏山をはじめとする尾瀬の山々、平ヶ岳から小沢岳への山々、さらに目を転じると遠く谷川岳の東壁と朝日岳から巻機山までの山々が連なって見える。まさに絶景である。しばらくこの景色を写真に収め、もうひとつの目標である布引山に向かう。布引山はここから見ると大きく聳える朝日岳の前衛として丸くかわいく見える山である。雨ヶ立山から西に大きく下り鞍部からもう一度登り上げる。ここを下りながらスキーの跡を見るとスキーならばこんなところは一瞬で下ってしまうのにと恨み言を言いながら降りた。(山スキーは欲しいが値段が高くなかなか手が出ない。)このコースにもスキー二人分とスノーシュー一人分の跡がついていた。再び喘ぎながら雪の斜面を登ると思ったよりも簡単に布引山の頂上に到着した。スノーシューもスキーもトレースは烏帽子山の方に向かっており、その先の姿は見えない。私はここが今日の最終目標なので昼飯を摂りながらゆっくりと景色を楽しんだ。
柄沢山方面 布引山山頂と小烏帽子山 朝日岳
小沢岳から平ヶ岳 武尊山 雨ヶ立山(遠景は至仏山)
山頂から景色を楽しみながら辺りを歩いていると昭文社の登山地図が落ちていた。どうも先ほどの先行者が落としたもののようだったので、木の枝の上に干して置いた。するとしばらくして烏帽子山からこちらの戻ってくる人影が小さく雪の上に見えてきた。どうやらスノーシューの先行者が戻ってくるようだった。彼の戻りを待ち地図の話をした。するとこの方は1月の終わりに高檜山で時間を尋ねた方ということが分った。しばらくの間周りに見える山々の登り方などの話を伺い楽しい時間を過ごした。この方によればスキーのトレースはこの先の大烏帽子山まで今日登っているパーティがあり、大烏帽子山の斜面を滑って降りてはまた登り上げているとのことだった。帰りはこの方が先行して降りたが、登りとは違うコースを取ったようでどんなコースを降りたのかは分からなかった。私は鞍部までは来た道を下り、雨ヶ立山は右を巻いて稜線に進んだ。稜線からは来た道を忠実に下った。ところが帰りはここからが地獄で、稜線上は昼間気温が上がり雪がやわらかくなってもそれほど歩き辛くはなかったが、稜線を下り標高を下げた辺りから踏み抜きが増え悪戦苦闘しながらの下山となった。あまりにもワカンでの歩行が困難で最後は腰も痛くなってしまった。林道途中では帰りに雨ヶ立山の手前で会った人に追い抜かれ、駐車スペースに着くとすぐにスキーの二人が下山してくるなどほとんどスピードが上がらない歩行となった。雪が解けて柔らかく、ワカンではツボ足とほとんど変わらず林道はほとんど踏み込みながらの歩行となった。七転八倒の末どうにか駐車スペースに戻った。このコースは狭く困難な場所もないのでスノーシューまたはスキーで行くのが最も適していると思う。最後は酷かったが、この時期のこのコースはもう一度来たくなるすばらしいものだと思う。
雨ヶ立山東面の岩場 至仏山 だるま岩
TOP 記録 2010 群馬の300山
inserted by FC2 system