鹿島槍ヶ岳 常念岳
長野県大町市、富山県黒部市、立山町
爺ヶ岳(2,670m)、布引岳(2,683m)、鹿島槍ヶ岳南峰(2,889m)、鹿島槍ヶ岳北峰(2,842m)
【登山日】 2009年 9月19日、20日、21日
【登山コース】9月19日
柏原新道登山口[11:00]→種池山荘[16:21]
一昨年の夏に計画して、天候不良のために中止した鹿島槍ヶ岳へこのシルバーウィークについに出掛けてきた。昨年爺ヶ岳までは歩いているので、コースにあまり不安はなかったが、数日前から台風の情報があり、そちらのほうが心配であった。しかし、出発前日の金曜日の天気予報は上々で、昨年見ることの出来なかった立山連峰が見えるだろうことを期待して土曜の朝に出発した。今回は、友人たちとのパーティー登山で、連休の混雑も予想されるのでテント持参での登山となった。
柏原新道登山口 雲に隠れた針ノ木岳方面 登り始めの柏原新道
今回も休日特別割引を使い豊科ICまで高速道路で行ったが、更埴JCT手前で故障車のために渋滞となり30分近く余分にかかってしまった。豊科からは一般道を使い扇沢に向かった。柏原新道の登山口に着くと駐車場はもちろん、路肩にもたくさんの車がすでに駐車されていた。どうにか路肩駐車の切れ目を見つけて駐車した。ここですでに予定よりは1時間近く遅れていたのと今回はテント、食料などいつもに比べて荷物も重いので当初の計画である冷池山荘まで行く事を諦め、種池山荘までに計画を変更した。
リンドウ ケルン 雲が切れ顔を出した針ノ木岳
いつもより荷物も重いのでバテないようにゆっくりと登り始めた。スタート時には薄日は差すが、山の上は雲に覆われた不安な天気であった。ヒノキの根の張った急な道を登り、少し傾斜が緩んだケルンを過ぎた辺りから雲が減り、針ノ木岳や稜線上の種池山荘も見え始めた。
稜線上に見えた種池小屋 霧に覆われたガレ場 石畳
荷物も重いのでいつもよりは短いピッチで休みながら時間をかけて登った。石に覆われた登山道となっている石畳や水平道、ガレ場などを進み高度を上げていくとまわりの木々も大分色付いてくる。天気は残念ながら徐々に悪くなり、ガスってくる。4時間のコースを5時間半かけてどうにか種池山荘に着くと山荘は大混雑をしている。これはテントを張る事が出来るのかと不安になるほどである。早速、山荘で手続きをとるとNo.22の木札を渡された。もう21張もテントがあるのかとテン場に行くとどうにかまだスペースは詰めれば10張分ぐらいはあった。テントを張り、夕食を楽しみ早めに就寝した。
紅葉したナナカマド 小屋直下に群生したチングルマ 種池山荘
【登山コース】9月20日
種池山荘[5:05]→[5:40]爺ヶ岳南峰[6:00]→[6:49]冷乗越[7:10]→[7:27]冷池山荘テン場[7:41]→[8:34]布引岳[8:50]→[9:31]鹿島槍ヶ岳南峰[9:50]→鹿島槍ヶ岳北峰[10:24]→[11:09]鹿島槍ヶ岳南峰[11:41]→種池山荘[14:52]
2日目は爺ヶ岳山頂で日の出を見るために早朝5時のスタートとなった。今日は重い荷物はテン場の端にデポして、(連泊であっても連休中は混雑するのでテントは一旦畳めとのことで)食料や雨具などの必要最小限の物を持って歩き始めた。昨夜は早く寝たので、眠くはないが、さすがに標高2000mを越える高山なので夜明け前はかなり冷える。少し風もあるので防寒着を着込んで登った。今日は天気は良く、上空には雲一つない状況である。夜明け前の薄明かりの中に立山連峰、針ノ木岳と後ろの山々、富士山、南アルプス、八ヶ岳、鹿島槍ヶ岳と360度すべてが見渡せた。残念ながら光量不足でブレてしまい、私の技術ではうまく写真が取れない。
夜明け前 遠く富士山も見える 爺ヶ岳北峰方面 八ヶ岳、富士山
爺ヶ岳南峰の山頂に着くとすでに10名程度が夜明けを待っていた。しばらくすると地平線から朝日が昇り始めた。朝日があたった山や人は皆赤く染まる。爺ヶ岳の南尾根、蓮華岳、針ノ木岳、立山連峰、鹿島槍ヶ岳とすべて赤く染まる。ぐるっと一周してもう一度立山方面を見ると大汝山の神社に光が当たり光っていた。日が完全に昇ると、蓮華岳、針ノ木岳の左奥には槍ヶ岳、穂高岳も確認できた。この素晴しい眺めを存分に堪能した。
日の出 尾根に当たる朝日 劒岳
鹿島槍ヶ岳 立山連峰 蓮華岳、針ノ木岳
爺ヶ岳南峰から下り、鹿島槍ヶ岳への縦走路を進む。この縦走路をそのまま進むと爺ヶ岳の中央峰、北峰は巻いてしまう。昨年これらには登っているので縦走路を逸れずに進んだ。冷池山荘手前の冷乗越で一休みした。ここからは立山連峰の眺めが良く、もうお腹一杯になるほど劒岳をはじめとする立山連峰の眺めを楽しんだ。
爺ヶ岳登山道道 冷池山荘 冷乗越(後は立山連峰)
冷池山荘 冷池山荘テン場 鹿島槍ヶ岳(左から布引岳、南峰、北峰)
冷池山荘に到着するとすでに登山者はほとんど出発したのか静かだった。ここのテン場は冷乗越から眺めたところでは山荘からかなり登ったところにあった。実際に歩いてみても種池山荘に比べてテン場までかなり遠いし、標高差もある。そのうえテン場に行ってみると石も多く傾斜もあるので、テントを張る場所も少ないようだった。種池山荘にテントを張ったのは正解だったかもしれないと思った。
大汝山方面 劒岳 布引岳
雷鳥 振り返って爺ヶ岳 鹿島槍ヶ岳南峰登り
冷池山荘テン場を過ぎると夏には花がたくさん咲いていると思われる草地を通り、布引岳への登りとなる。布引岳へはハイマツの間を稜線に沿ってジグザグに登る。山頂手前のハイマツの中に雷鳥が2羽いるようで、先行の登山者が写真を撮っていた。われわれがそばに行って写真を撮っても雷鳥は警戒もせず逃げなかった。雷鳥にあったのは初めてである。布引岳に到着するとそこはピークというより、鹿島槍ヶ岳に登る途中の肩といったほうがいいような場所だった。
針ノ木岳方面(後は薬師岳?) 立山連峰 歩いてきた稜線
布引岳でゆっくり休んだ後、いよいよ本峰である鹿島槍ヶ岳南峰へ登る。こちらも先ほどの布引岳への登りと同じような道である。なぜなのか分からないがこの登りはなんとなく谷川岳に似ていた。南峰に到着するとすでに多くの登山者が休んでいた。山頂は細長く、2本ある山頂標識の1つがある部分が岩場になっていて少し小高く本当のピークといった感じである。もう1つは登山道に近い場所に立てられていた。ここからは鹿島槍ヶ岳北峰や五龍岳、白馬三山などここから北へ向かう山々が一望できた。
五龍岳、白馬岳方面 南峰山頂 北峰
折角ここまできたので北峰へも行くことにした。南峰から北峰へは一旦大きく下るのだが、ここから先は足場も悪く切れ落ちており、今までの縦走路とは全く違った道になる。慎重に下り、反対側から来る登山者とのすれ違いにも気を使い鞍部まで来る。ここからキレット小屋方面への縦走路と北峰への登山道に分岐する。ここを一登りすれば北峰頂上となる。端から五龍岳歩面への縦走路を眺めると崖の真下にキレット小屋が見えた。良くもこんなところに立てたものだと思われるロケーションである。ここでも眺望を楽しみ南峰へ戻った。南峰は先ほどよりも登山者の数が増し、そのうえ下から登ってくる20名ぐらいの団体があり、すぐに山頂は数十人の登山者でごった返した。私たちも折角登ったのでここで昼食をとりゆっくりした。
北峰から見た南峰 北峰山頂 種池山荘付近から見た爺ヶ岳
帰りは来た道を忠実に戻った。天気が良いせいか紅葉は昨日よりも鮮やかになったように思わた。冷池山荘から爺ヶ岳を巻いて種池山荘に戻る途中では、冷池山荘に泊る人やテントを張ると思われる人とたくさんすれ違った。南峰の山頂にいた団体やその他の多くの人も冷池山荘に今日は泊るようで今日の小屋はぎゅうぎゅう詰めになるようだった。しかし小屋に泊る人はいいがテントはもうキャパシティを越えて張ることが出来ないように思えた。恐るべしシルバーウィークである。冷池山荘がこんなに混むということはと考えると種池山荘についてもテントは張れるのか心配になってきた。種池山荘に到着し、手続きをとると昨日より1時間以上早いのに今日はすでにNo.33の木札となった。テン場にどうにかスペースがあったのでテントを張り始めると山小屋の人が来て、テントを詰めて張って下さい、それも張り綱が接する程度ではなく、テント同士をくっ付けて張って下さいとのことである。かなり詰めて張ってこれから来るであろう登山者にスペースを空けたが、1時間もしないうちに満杯になってしまった。小屋に行くときに見ると最後の方のテントにはもう木札がないようで、紙に書かれたNo.45が掛かっていた。テン場もキャパシティを越える数になったようだった。
【登山コース】9月21日
種池山荘[7:35]→柏原新道登山口[10:00]
最終日は、下りるだけなのでゆっくりとテントで眠った。夏山と違って夜明けが遅いせいか7時になっても7割ぐらいのテントが残っていた。テントについた夜露を乾かす間に針ノ木岳方面への縦走路を少し辿り、岩小屋沢岳との鞍部付近で、劒岳、鹿島槍ヶ岳を眺め最後の名残を惜しんだ。
岩小屋沢岳 劒岳 紅葉
鹿島槍ヶ岳 ギュウギュウのテン場 針ノ木岳方面
下りは荷物も軽くなり、実質歩行時間2時間ほどで扇沢についてしまった。路肩に停めた車まで戻ると最初に置いたときよりは遥かに多くの車が停まっていた。ここから大町方面に下りるとさらに路肩駐車は多く延々と続いていた。さらに下るとアルペンルートは交通規制されていて自動車で入ることが出来なくなっていた。ここで車を降ろされてシャトルバスで扇沢まで行くようだった。その上この規制場所からは延々と大町温泉郷の下まで車列が続いていた。私たちは大町温泉郷で薬師の湯に入り、信州そばを堪能して帰途についた。帰りの高速では私たちは渋滞する事はなかったが、反対車線では軽井沢への登りで大渋滞をしていた。私たちは運良く行ったが、恐るべしシルバーウィークである。(山は高齢者も多く、まさにシルバーウィークであった。)
小屋前の紅葉と蓮華岳 種池山荘 下山途中から見た種池山荘方面
TOP 記録 2009
inserted by FC2 system